建築ラボ

鉄骨工

2020.05.14

頑丈なイメージがある鉄だけど、それは鉄の一面でしかないのさ。実は弾力性があって粘り強い性質があるから、大きな振動が加わっても壊れにくいし、高熱を加えることで柔らかくなって鉄同士がくっつき、強度も増すのさ。硬いだけではない強靭な鉄を加工して、建物の骨組みとなる鉄骨を製作していくのが鉄工所の仕事さ。

鉄工所には製作能力や工場設備などに応じてランクがつけられていて、その基準はとても厳しいのさ。一度ランクが決定しても、基準を満たさなければランク落ちもある厳しい世界。ランクで仕事の幅も変わるから、ランクは絶対に死守すべし。うちは、建物の高さなどに制限が設けられないMグレード。マンションや橋の補強、耐震工事など、鋼材が厚く、より強度が高い重量鉄骨を専門に扱っているのさ。

鉄工所の仕事は建築物の骨組みとなる鉄骨の製作だから工作図を見ながら、何百種類もある部品から必要となるものを選び組み立てるため、鉄に穴をあけたり、削ったり、鉄と鉄をくっつけて溶接したりする。溶接は強い光を発しながら1500度以上の高熱で熱を溶かし接合するんだけど、簡単に見えて簡単じゃない。鉄は熱が入ると縮むから、それを計算して図面通りに組み立てていかなきゃいけないし、十分な強度を保てる状態に接合できるか、美しく仕上がっているかなど、職人のスキルがものを言うのさ。

建物が完成すると組み立てた鉄骨は見えなくなることがほとんどだけど、重要な骨組みとして世の中に残り、街の発展として役に立つことができる非常にやりがいのある仕事さ。生活を支える身近な資材である鉄を扱うのは楽しいよ。鉄と長い間つきあっている自分が思うことは、やっぱり男は鉄のようであれ、これにつきるね。
 
by 株式会社池下工業 代表取締役 池下堅二

協力会社名株式会社池下工業